2008年 03月 04日
レンブラントの夜警
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映画「レンブラントの夜警」を見た。
レンブラントはご存じ17世紀オランダの画家である。
肖像画によって巨万の富を得、弟子を増やして絵画や銅版画を手広く制作したが、華々しい画業を手広くやりすぎた結果、すべてを失い破産する。非常に浮き沈みの激しい人生を送った人物なのだ。
映画のタイトルでもあるおなじみの「夜警」は、レンブラントの作品の中で最高傑作とされている巨大な作品である。
監督、ピーター・グリーナウェィはこの「夜警」をもとに、謎深いこの絵の内容や、登場人物、作家レンブラントの人間像や生活に迫っていく。
映画という形にはなってはいるもののこれは作者の「考察」を劇化した作品である。(かなり一方的な考察であることは確か)
劇中のさまざまな場面はすべて観念的につくられたシーンで、そこで繰り広げられる会話は、人が発する生の「ことば」ではなく「考察」や「状況」をセリフという形にして登場人物にしゃべらせたものといえる。したがってレンブラントが「夜警」を制作する物語と思って見ると、かなりのギャップを味わうことになる。
それは、この映画の中でレンブラントが絵を描くシーンが全くないことを想像していただければわかるかもしれない。
ピーター・グリーナウェィがここで描いているレンブラントは、芸術家というよりはむしろお金や身の回りの人間に翻弄される俗人の姿である。芸術家といえどもお金を稼ぎ、女性やお偉方にふりまわされる、そういった人物像、それもひとつの切り口ではある。
しかし「夜警」を描くことによって結果として世間から干されてしまうレンブラントだが、その原因は彼の芸術性にあったことは言うまでもない。肖像画家レンブラントは自らの才能ゆえに、市警団の面々の人格や内面を、誰にでも見通せるほど描きだし、「夜警」の中にとどめてしまったのだ。だから描かれた本人は、自分の人格がこの一枚の絵によって世間にさらされてしまうと危惧した。市警団の連中はレンブラントを警戒し、放置しておけない標的として彼を破滅させようとする。
おそらくグリーナウェィはこの映画の存在自体をスキャンダラスなものにしたかったのだろう。それが証拠に、レンブラントの性を象徴するような巨大なベッドを中心に、全裸シーンや、やたらにスラングが挟み込まれたセリフが攻撃的に飛び交う。しかし私にはそうした演出すべてが青臭く感じられてしまった。
KEI
(写真はレンブラントの家)
レンブラントはご存じ17世紀オランダの画家である。
肖像画によって巨万の富を得、弟子を増やして絵画や銅版画を手広く制作したが、華々しい画業を手広くやりすぎた結果、すべてを失い破産する。非常に浮き沈みの激しい人生を送った人物なのだ。
映画のタイトルでもあるおなじみの「夜警」は、レンブラントの作品の中で最高傑作とされている巨大な作品である。
監督、ピーター・グリーナウェィはこの「夜警」をもとに、謎深いこの絵の内容や、登場人物、作家レンブラントの人間像や生活に迫っていく。
映画という形にはなってはいるもののこれは作者の「考察」を劇化した作品である。(かなり一方的な考察であることは確か)
劇中のさまざまな場面はすべて観念的につくられたシーンで、そこで繰り広げられる会話は、人が発する生の「ことば」ではなく「考察」や「状況」をセリフという形にして登場人物にしゃべらせたものといえる。したがってレンブラントが「夜警」を制作する物語と思って見ると、かなりのギャップを味わうことになる。
それは、この映画の中でレンブラントが絵を描くシーンが全くないことを想像していただければわかるかもしれない。
ピーター・グリーナウェィがここで描いているレンブラントは、芸術家というよりはむしろお金や身の回りの人間に翻弄される俗人の姿である。芸術家といえどもお金を稼ぎ、女性やお偉方にふりまわされる、そういった人物像、それもひとつの切り口ではある。
しかし「夜警」を描くことによって結果として世間から干されてしまうレンブラントだが、その原因は彼の芸術性にあったことは言うまでもない。肖像画家レンブラントは自らの才能ゆえに、市警団の面々の人格や内面を、誰にでも見通せるほど描きだし、「夜警」の中にとどめてしまったのだ。だから描かれた本人は、自分の人格がこの一枚の絵によって世間にさらされてしまうと危惧した。市警団の連中はレンブラントを警戒し、放置しておけない標的として彼を破滅させようとする。
おそらくグリーナウェィはこの映画の存在自体をスキャンダラスなものにしたかったのだろう。それが証拠に、レンブラントの性を象徴するような巨大なベッドを中心に、全裸シーンや、やたらにスラングが挟み込まれたセリフが攻撃的に飛び交う。しかし私にはそうした演出すべてが青臭く感じられてしまった。
KEI
(写真はレンブラントの家)
by kmd-design
| 2008-03-04 19:53
| Book & Cinema