2007年 03月 19日
聖なる映像、聖なる空間
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もし、映像によるエクスタシーというものがあるとするならば、グレゴリー・コルベールのつくり出す映像はエクスタシーそのものである・・・。
筆舌尽くしがたい衝撃だった。
グレゴリー・コルベール・・・・聞き慣れない名前のカナダ人アーティストの展覧会「ashes and snow」でのことだ。
人間、動物、自然、遺跡、それが織りなすピュアな映像と時間。
それらが交感する聖なるシーンは、そのすべてが実際の映像というから驚きである。
ただ「色」と「時間」という真実を除いては・・・。
アーティストは実際の「色」という雑多な情報を取り去り、実際の「時間」の長さとは違う時間の流れを存在させている。
「ashes and snow」は2002年にヴェネチアで開催されて以来、ニューヨークとロサンゼルスで公開され、現在、お台場のノマディックミュージアム(6月までのテンポラリーなミュージアム)で開催中。
夜間に訪れることをおすすめしたいこのミュージアムは、日が暮れてネオンが忙しくまたたくお台場の大観覧車の足許にある。ふしぎな光景だ。余談だが、かつてフランシス・コッポラの「ワン・フロム・ザ・ハート」というラスベガスを舞台にした恋物語の映画を見たことがあるが、その時味わった虚像のような空気感が漂っていた。何もかも夢の中のできごとのように。
ノマディックミュージアムのデザインは建築家、坂茂。これもすばらしい。
美術館の外壁は貨物列車のコンテナを積み上げ、内部の柱や家具は坂茂らしいの巨大な紙管とペーパーハニカムでできている。それは粗末な素材から作り上げられているにもかかわらず、おごそかな神殿のようだった。
必見の展覧会である。現在、六本木の森美術館でダイジェスト編も開催中。こちらも併せてどうぞ。
www.ashesandsnow.com
KEI
by kmd-design
| 2007-03-19 14:32
| Book & Cinema